ブログ

【就労継続支援B型】第8回 B型事業所の設備・環境づくりのポイント

就労継続支援B型サービスは、障害をもつ方々が社会参加し、自立した生活を送るために欠かせない制度です。

このサービスは、障害をもつ方が無理なく働き続けられる環境を提供し、自己肯定感を高めるだけでなく、社会的スキルを身につける機会を提供します。
事業所の皆様にとっても、利用者のサポートを通じて社会貢献を果たす重要な役割を担っています。

例えば、あるB型事業所では、軽作業や手工芸を通じて利用者が就労経験を積み、徐々にスキルを向上させています。
また、定期的な評価や支援計画により、利用者一人ひとりに合わせた支援が可能となっています。

このように、就労継続支援B型サービスは、障害をもつ方の社会参加を支え、事業所の社会的価値を高める重要な仕組みです。
この記事では、B型サービスの概要や申請手続き、運営のポイントについて詳しく解説します。

 

 

B型事業所の設備・環境づくりのポイント

就労継続支援B型事業所(以下、B型事業所)では、利用者が安心して作業に取り組める「設備」と「環境」の整備が欠かせません。
適切な設備や作業環境を整えることで、作業効率やモチベーションの向上、さらには工賃アップにもつながります。

この記事では、B型事業所を新たに開設・運営する際に押さえておきたい設備・環境整備のポイントを、行政書士の立場から解説します。

 

1. 法令上求められる最低限の設備とは?

B型事業所を開設するには、「障害者総合支援法」や自治体の運用基準に定められた設備を整える必要があります。
以下はその一例です。

 

(1) 作業室

  • 十分な広さと換気、採光を備えた作業スペースが必要です。
  • 利用者1人あたり3.3㎡以上の作業空間が求められる場合が多く、窮屈さのない設計が求められます。

 

(2) 相談室(プライバシーが確保される空間)

  • 個別支援計画の面談や困りごとの相談に対応するためのスペース。
  • パーテーションではなく、扉付き個室が求められることもあります。

 

(3) トイレ・洗面設備

  • 男女別、かつバリアフリー対応のトイレがあると理想的です。
  • 自力での使用が難しい利用者への配慮も必要です。

 

(4) 休憩スペース

  • 作業とオン・オフのメリハリをつけるためにも、リラックスできる空間が必要です。

 

 

2. 快適で安全な作業環境の整備ポイント

 

(1) 温度・湿度・空気の管理

  • エアコンや空気清浄機の設置で年間を通して快適な室温管理を行いましょう。
  • 換気扇や窓の配置によって空気の循環を確保することも重要です。

 

(2) 照明と音環境

  • 手元が明るく照らされるLED照明を使用することで、目の疲労を防ぎ、集中力の維持に役立ちます。
  • 過度な騒音を避け、静かで落ち着いた環境を保つように工夫しましょう。

 

(3) バリアフリー対応

  • 段差の解消、手すりの設置、車いす対応の通路幅など、身体障害者にも配慮した設計が望まれます。

 

 

3. 利用者が安心して作業に取り組める工夫

 

(1) 作業動線を意識したレイアウト

  • 作業机・道具・材料の配置は、無駄のない動線を意識して配置しましょう。
  • 特に身体的負担が大きい利用者には、立ち作業と座り作業を選べる工夫も有効です。

 

(2) 個別性の尊重

  • 作業スペースを仕切るパーテーションを用意するなど、刺激を減らし集中しやすい環境を整えましょう。
  • イヤーマフや遮音ヘッドホンの貸し出しも一つの方法です。

 

4. 作業効率を高めるための道具・ICTの導入

 

(1) 作業補助具の導入

  • 治具(じぐ)やテンプレートなど、作業のばらつきを抑える道具を導入すると、成果物の品質向上と工賃向上が見込めます。

 

(2) ICTツールの活用

  • 作業記録、日報管理、個別支援計画の作成などをタブレットや専用ソフトで管理することで、支援の質と業務効率が向上します。

 

 

5. 「居心地の良さ」も大切に

福祉的な視点からは、「作業場」としての機能だけでなく、「居場所」としての快適さも求められます。

  • 季節ごとの飾りつけや絵画展示など、視覚的に楽しめる工夫
  • コミュニケーションが苦手な利用者に配慮した静かな休憩コーナー
  • ソファや観葉植物など、リラックスできるインテリアの導入も有効です

 

 

6. 設備投資に使える補助制度

B型事業所の設備整備には、以下のような公的支援制度の活用が可能です。

補助制度名 内容
障害福祉人材確保・職場環境改善等事業 設備・ICT・研修費用の一部を補助(都道府県単位)
福祉施設整備交付金 施設の改修・バリアフリー対応等に利用可
小規模事業者持続化補助金 一般事業者向けの設備導入・広報費に対応

補助金の申請には、実施計画や見積書、収支見込みの提示が必要となるため、専門家の支援を受けることが成功のカギです。

 

7. まとめ

B型事業所の設備・環境整備は、単に法令を満たすだけでなく、「利用者が安心して通える場所」「働きやすく、やりがいを感じられる場」を作るための基盤です。

作業のしやすさ、集中のしやすさ、過ごしやすさ、安全性——こうしたすべての要素が、利用者のモチベーションや工賃向上、事業所の持続的な運営に直結します。

当事務所では、開設準備段階から設備図面のチェック、自治体との事前相談、補助金申請サポートまで一貫した支援が可能です。どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

就労継続支援B型サービスは、障害をもつ方の社会参加を支え、事業所が地域社会に貢献できる大切な仕組みです。

このサービスは、利用者が自分のペースで働き、成長を実感できる場を提供し、事業所はその支援を通じて社会的責任を果たすことができます。
また、行政手続きや報酬請求などのサポートを適切に行うことで、事業所の運営を安定させることも可能です。

「ならざき行政書士事務所」では、新規指定申請や指定更新申請、サービス報酬の請求手続きなど、B型事業所の運営に欠かせないサポートを提供しています。
これにより、事業所の皆様は安心して利用者支援に集中することができます。

就労継続支援B型サービスの安定した運営には、確かな支援と適切な手続きが欠かせません。
「ならざき行政書士事務所」は、あなたの事業運営をしっかりとサポートします。

 

 

参照記事等

LITALICO仕事ナビのウェブサイト「就労継続支援B型の設備基準|あわせて消防法・建築基準法も解説
(最終閲覧2025年6月24日)

ミライクスのウェブサイト「就労継続支援B型の設備基準は?物件選びのポイントも解説
(最終閲覧2025年6月24日)

PAGE TOP