「特定技能」は、人手不足の業界で外国人材を受け入れるための、今もっとも注目されている在留資格です。
特定技能制度は、日本国内で深刻化する労働力不足に対応するために2019年に創設され、一定の技能や日本語能力を持つ外国人を受け入れる仕組みです。
特に介護、外食業、建設などの16分野で活用が進んでおり、多くの企業が即戦力としての外国人材に期待を寄せています。
例えば、ある外食チェーンでは特定技能の外国人スタッフを複数名採用し、人手不足の店舗運営を安定化させました。
就労を希望する外国人側にとっても、中長期的に働ける制度として人気が高まっています。
このように、「特定技能」は企業にとっても外国人にとっても大きな可能性を持つ在留資格です。
🌲 在留資格「特定技能1号」木材産業分野の詳細解説
1. 🌲 木材産業分野の概要
特定技能1号「木材産業」分野は、外国人労働者が日本国内で木材の製造・加工業務に従事できる在留資格です。
この分野は、日本の林業・木材加工業の人手不足を補うために設けられ、製材業や合板製造業などが対象となります。
1-1. 対象業務
木材産業分野で従事できる業務は以下の通り。
- 製材業:
- 丸太の皮むき、切断、製材(板材、角材の生産)
- 木材の乾燥処理および仕上げ
- 製材機械の操作
- 合板製造業:
- 薄板(単板)の製造および接着
- 合板のプレス加工
- 仕上げおよび検査
- 木材加工業:
- 木製製品の加工(家具、建築資材)
- 木材の防腐・防虫処理
- 木材製品の組立
1-2. 付随業務
上記業務に関連する以下の業務も従事可能。
- 原材料の調達、搬入、受け入れ
- 製品の検査、品質管理
- 製品の出荷(梱包、運搬)
- 作業場の整理整頓、清掃
1-3. 従事不可の業務
- 木材の収集(伐採)
- 林業(木の伐採や植林)
- 木材の運搬(物流業務)
- 工場以外での建設現場作業
2. 🌲 必要な試験と資格
特定技能1号「木材産業」分野で就労するには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
2-1. 技能試験
- 試験名:木材産業特定技能測定試験
- 試験形式:筆記試験(学科試験+実技試験)
- 試験内容:
- 学科試験:木材加工に関する基本知識(機械操作、安全衛生、品質管理)
- 実技試験:製材機械の操作、加工工程の実演
- 試験時間:60分
- 合格基準:学科・実技の合計得点の65%以上
📌 技能実習2号からの移行
- 木材加工分野で技能実習2号を修了した外国人は、技能試験が免除されます。
2-2. 日本語能力試験
- 以下のいずれかの試験に合格。
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
- 日本語能力試験(JLPT)N4以上
3. 🌲 受け入れ企業の要件
外国人材を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、以下の条件を満たす必要があります。
3-1. 企業の資格
- 農林水産省が設置する「木材産業特定技能協議会」の構成員であること
- 適切な労働条件(給与、勤務時間、福利厚生)の提供
- 労働災害保険や社会保険の加入義務
- 登録支援機関と契約し、外国人材への生活支援を実施
- 適正な雇用管理(外国人材の労働時間・安全管理)
3-2. 支援計画の作成
企業は、外国人材への支援計画を作成し、以下の内容を含む必要があります。
- 住居の確保支援
- 生活オリエンテーション(地域のルール、日本文化)
- 日本語学習支援
- 日常生活サポート(医療、公共サービスの利用)
4. 🌲 在留期間と家族帯同
4-1. 在留期間
- 在留資格「特定技能1号」の期間は 1年、6か月、または4か月ごとに更新。
- 最大在留期間は 通算5年間。
4-2. 家族帯同
- 原則として家族帯同は認められていません。
- ただし、「特定技能2号」に移行すれば家族帯同が可能。
5. 🌲 試験日程と実施場所
5-1. 国内試験実施予定(2025年度)
- 東京会場:2025年6月下旬
- 福岡会場:2025年7月下旬
- 名古屋会場:2025年8月下旬
- 北海道会場:2025年10月下旬
- 広島会場:2025年11月下旬
- 岩手会場:2025年12月下旬
- 東京会場:2026年2月下旬
5-2. 海外試験実施予定
- インドネシア:年2回程度
- ベトナム、フィリピン:今後検討中
6. 🌲 申請手続きの流れ
6-1. 申請者(外国人)の流れ
- 技能試験および日本語試験に合格
- 雇用先企業(受け入れ機関)を決定
- 雇用契約を締結
- 在留資格認定証明書の申請(企業が代理申請)
- 日本入国後、在留カードを受領
6-2. 受け入れ企業の流れ
- 木材産業特定技能協議会に加入
- 支援計画の作成および支援機関との契約
- 雇用契約締結後、在留資格認定証明書を申請
- 外国人材の入国後、生活支援を実施
- 雇用状況の報告義務(協議会への報告)
7. 🌲 給与・労働条件
- 給与:日本人従業員と同等以上(最低賃金以上)
- 勤務時間:1日8時間、週40時間を基準
- 残業手当:法律に基づき支給
- 有給休暇:労働基準法に基づき付与
- 保険加入:雇用保険、健康保険、厚生年金
8. 🌲 特定技能2号への移行
- 木材産業分野は、特定技能2号への移行が認められていません。
- そのため、通算5年間の在留期間を超えての在留は不可です。
9. 🌲 よくある質問
Q1. 木材産業の特定技能試験はどこで受験できますか?
A1. 日本国内の各会場(東京、福岡、名古屋など)およびインドネシアで受験可能です。
Q2. 家族を日本に呼びたいのですが可能ですか?
A2. 特定技能1号では家族帯同は認められません。
Q3. 在留期間の更新は簡単ですか?
A3. 一定の条件(継続雇用、支援実施)が満たされていれば更新は可能です。
「特定技能」は、企業と外国人の双方にメリットがあり、制度を正しく理解し活用することが重要です。
一方で、申請には技能評価試験や日本語試験の合格、受入れ体制の整備、支援計画の策定など、専門的な知識と手続きが求められます。
不備があると不許可や手続きの遅延につながるため、確実な準備が不可欠です。
「ならざき行政書士事務所」は、在留資格認定証明書の申請から、変更・更新の手続き、受入れ企業の支援体制づくりまで、特定技能制度の活用を総合的にサポートしています。
初めて外国人を雇用する企業様にも、わかりやすく丁寧にご案内いたします。
特定技能制度を適切に活用することで、人材不足を補いながら国際的な人材との連携が可能になります。
「ならざき行政書士事務所」は、その第一歩を全力でサポートいたします。
参照記事等
出入国在留管理庁のウェブサイト「木材産業分野」
(最終閲覧2025年6月20日)
一般財団法人全国木材組合連合会のウェブサイト「木材産業分野特定技能制度」
(最終閲覧2025年6月20日)