「特定技能」は、人手不足の業界で外国人材を受け入れるための、今もっとも注目されている在留資格です。
特定技能制度は、日本国内で深刻化する労働力不足に対応するために2019年に創設され、一定の技能や日本語能力を持つ外国人を受け入れる仕組みです。
特に介護、外食業、建設などの16分野で活用が進んでおり、多くの企業が即戦力としての外国人材に期待を寄せています。
例えば、ある外食チェーンでは特定技能の外国人スタッフを複数名採用し、人手不足の店舗運営を安定化させました。
就労を希望する外国人側にとっても、中長期的に働ける制度として人気が高まっています。
このように、「特定技能」は企業にとっても外国人にとっても大きな可能性を持つ在留資格です。
外国人在留資格「特定技能1号」の「林業」分野:詳細解説
1. 特定技能「林業」分野の概要
特定技能1号は、日本での人手不足が深刻な分野で、一定の技能や知識を有する外国人労働者を受け入れるために設けられた在留資格です。
「林業」分野は2024年に追加され、日本の森林資源の適切な管理や利用を支えるために、外国人労働者の受け入れが可能となりました。
2. 在留資格「特定技能1号(林業)」の取得要件
2-1. 技能試験の詳細
(1) 試験名称:林業技能測定試験
- 試験内容:
- 育林業務:植栽、下刈り、枝打ち、間伐、造林作業
- 素材生産業務:伐採、集材、運搬作業
- 安全衛生:林業作業中の安全対策、保護具の使用方法
- 試験形式:
- 筆記試験:林業に関する基礎知識
- 実技試験:チェーンソーの操作、伐採・集材の技術確認
(2) 試験実施場所と頻度
- 日本国内および一部の海外拠点で実施予定
- 試験は年に数回実施され、試験日程は事前に告知される
2-2. 日本語能力要件
- 日本語能力試験(いずれか一つに合格)
- JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト):A2レベル以上
- 日本語での基本的な会話や指示が理解できるレベル
- 日本語能力試験(JLPT):N4レベル以上
- 日常会話ができる程度の日本語能力
2-3. 在留期間と更新
- 初回在留期間:最長1年
- 更新可能期間:1年または6か月ごとに更新
- 最大在留期間:通算5年間
- 家族の帯同:原則不可(「特定技能1号」は単身者のみ)
3. 外国人労働者が従事可能な業務内容
3-1. 育林業務
- 植栽:苗木の植え付け
- 下刈り:成長を妨げる雑草や低木の除去
- 枝打ち:木の枝を切り落とし、成長を促進
- 間伐:成長を促すため、密集した木を間引く
3-2. 素材生産業務
- 伐採:指定された木の伐倒
- 集材:切り倒した木材を指定場所に集める
- 運搬:木材のトラックや機械を使用した運搬
3-3. 安全衛生
- 安全保護具の使用:ヘルメット、保護メガネ、安全靴の着用
- 作業計画の策定:事故を防止するための事前計画
- 救急対応:応急処置の方法
4. 受け入れ企業に課される要件
4-1. 受け入れ企業の要件
- 特定技能協議会への加入:
- 農林水産省の「林業特定技能協議会」に所属
- 労働者の支援や適正な労働環境確保に協力
- 法令遵守:
- 労働基準法、労働安全衛生法などの遵守
- 労働条件(賃金、労働時間)は日本人と同等
- 支援体制の整備:
- 住居の確保:社宅の提供、賃貸住宅の斡旋
- 生活サポート:医療機関や公共交通機関の利用方法の案内
- 日本語学習の機会提供:日本語教室への紹介やオンライン学習支援
4-2. 受け入れ人数の上限
- 2024年から5年間の受け入れ枠:最大1,000人
- 地域ごとの受け入れ状況:
- 北海道、東北、四国、九州など林業が盛んな地域に重点
5. 受け入れ手続きの流れ
5-1. 企業側の手続き
- 林業特定技能協議会に加入
- 外国人労働者の雇用契約締結
- 支援計画の策定
- 入国手続き(在留資格認定証明書の取得)
- 外国人労働者の受け入れ(生活支援・労働管理)
5-2. 外国人側の手続き
- 技能試験合格
- 日本語試験合格
- 雇用契約の確認
- 在留資格認定証明書の取得
- 日本入国後の生活開始
6. 特定技能「林業」の特徴とメリット
6-1. 林業分野の課題解決
- 高齢化と若手人材不足が深刻
- 特定技能外国人の受け入れで人材確保が可能
6-2. 持続可能な林業の実現
- 外国人労働者が林業技術を習得し、地域に貢献
- 定住促進や地域振興にもつながる可能性
6-3. 外国人労働者のキャリアパス
- 特定技能1号での経験を積んだ後、技能実習制度や特定技能2号への移行も検討可能
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 外国人はどの国から受け入れ可能ですか?
- 特定技能1号は、多くの国から受け入れが可能です。特にインドネシア、フィリピン、ベトナム、タイ、ミャンマーなどの国からの労働者が多いです。
Q2. 特定技能1号の外国人が事故に遭った場合、企業の責任は?
- 企業は労働安全衛生法に基づき、労働災害保険の適用を確保し、適切な安全対策を講じる義務があります。
Q3. 日本語試験に不合格の場合は?
- 技能試験に合格しても、日本語試験に不合格の場合は特定技能1号を取得できません。再度の受験が必要です。
「特定技能」は、企業と外国人の双方にメリットがあり、制度を正しく理解し活用することが重要です。
一方で、申請には技能評価試験や日本語試験の合格、受入れ体制の整備、支援計画の策定など、専門的な知識と手続きが求められます。
不備があると不許可や手続きの遅延につながるため、確実な準備が不可欠です。
「ならざき行政書士事務所」は、在留資格認定証明書の申請から、変更・更新の手続き、受入れ企業の支援体制づくりまで、特定技能制度の活用を総合的にサポートしています。
初めて外国人を雇用する企業様にも、わかりやすく丁寧にご案内いたします。
特定技能制度を適切に活用することで、人材不足を補いながら国際的な人材との連携が可能になります。
「ならざき行政書士事務所」は、その第一歩を全力でサポートいたします。
参照記事等
出入国在留管理庁のウェブサイト「林業分野」
(最終閲覧2025年6月19日)
一般社団法人林業技能向上センターのウェブサイト「林業分野特定技能制度」
(最終閲覧2025年6月19日)