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【在留資格】特定技能1号「飲食料品製造業」について

「特定技能」は、人手不足の業界で外国人材を受け入れるための、今もっとも注目されている在留資格です。

特定技能制度は、日本国内で深刻化する労働力不足に対応するために2019年に創設され、一定の技能や日本語能力を持つ外国人を受け入れる仕組みです。
特に介護、外食業、建設などの16分野で活用が進んでおり、多くの企業が即戦力としての外国人材に期待を寄せています。

例えば、ある外食チェーンでは特定技能の外国人スタッフを複数名採用し、人手不足の店舗運営を安定化させました。
就労を希望する外国人側にとっても、中長期的に働ける制度として人気が高まっています。

このように、「特定技能」は企業にとっても外国人にとっても大きな可能性を持つ在留資格です。

 

 

特定技能1号「飲食料品製造業」分野の詳細ガイド

特定技能1号「飲食料品製造業」分野は、日本国内で人手不足が深刻な食品製造業において、外国人労働者を受け入れるための在留資格です。
この在留資格の詳細について、さらに詳しくご説明します。

 

1. 「飲食料品製造業」の業務内容

 

1-1. 対象となる業務

特定技能1号「飲食料品製造業」分野で従事可能な業務は、以下のような飲食料品に関連する製造・加工業務です:

  • 食品の製造・加工
    • 食肉加工:ハム、ソーセージ、ベーコン
    • 水産物加工:干物、練り製品(かまぼこ)
    • 野菜加工:カット野菜、ピクルス
    • 調味料:醤油、味噌、ソース
    • 製粉・製パン:パン、菓子、米菓
    • 惣菜・レトルト食品:弁当、総菜、冷凍食品
    • 清涼飲料:ジュース、炭酸飲料
  • 食品の包装・梱包
    • 完成品のパッケージング
    • ラベル貼付
    • 箱詰め作業
  • 衛生管理業務
    • 製造現場での清掃、消毒
    • HACCP(危害分析重要管理点)の実施と記録管理
    • 衛生基準の遵守
  • 品質管理
    • 原材料の受入れ検査
    • 製造中の品質チェック
    • 製品の検品および出荷検査
  • 製造工程の補助
    • 原材料の準備、仕込み
    • 製造機械の操作補助
    • 製品の搬送、保管

 

1-2. 対象外の業務

以下の業務は、特定技能1号「飲食料品製造業」分野には含まれません:

  • 酒類の製造(ビール、焼酎、日本酒、ワイン)
  • コンビニエンスストアのバックヤード業務
  • レストランやカフェでの調理業務(これは「外食業」に該当)
  • 単なる倉庫業務(物流)

 

 

2. 外国人材の資格取得要件

 

2-1. 試験の詳細

外国人が「飲食料品製造業」分野の特定技能1号を取得するためには、以下の試験に合格する必要があります。

 

飲食料品製造業技能測定試験

  • 試験内容
    • 基本的な食品製造・加工知識
    • 食品衛生(HACCP、異物混入対策)
    • 品質管理
    • 日本の職場で必要な安全衛生規則
  • 試験形式
    • 筆記試験:選択式問題(知識確認)
    • 実技試験:製造現場での作業確認(器具操作、衛生管理)
  • 試験実施場所
    • 日本国内の指定会場
    • 海外(インドネシア、フィリピン、ベトナム、ミャンマーなど)

 

日本語能力試験(以下のいずれか)

  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic
    • 日本語でのコミュニケーションが可能か確認
    • 主に読み書き、会話力を測定
  • 日本語能力試験(JLPTN4以上
    • N4:日常会話が理解できるレベル

 

2-2. 例外:技能実習2号からの移行

  • 過去に技能実習2号(飲食料品製造分野)を修了した外国人は、試験免除で特定技能1号に移行可能です。
  • 技能実習2号修了証明書が必要です。

 

3. 受入れ企業(特定技能所属機関)の要件

 

3-1. 必須要件

  • 食品産業特定技能協議会への加入
    • 外国人を受け入れる企業は、食品産業特定技能協議会に加入することが義務付けられています。
    • 加入は、初回受け入れから4か月以内に行う必要があります。
  • 登録支援機関の利用
    • 外国人への支援計画(入国後の生活支援、就労サポートなど)を実施する必要があります。
    • 自社で支援を行うか、登録支援機関に委託します。
  • 法令順守
    • 労働基準法、食品衛生法、出入国在留管理法など、関連法令を遵守することが求められます。

 

3-2. 受入れ数制限

  • 各企業の外国人受入れ数には上限が設けられる場合があります。
  • 上限は企業の規模や過去の法令遵守状況によって異なります。

 

 

4. 在留期間と家族帯同

 

4-1. 在留期間

  • 初回:4か月、6か月、または1年
  • 更新:1年または6か月
  • 通算で最長5年間

 

4-2. 家族帯同

  • 特定技能1号は、原則として家族帯同は認められません。
  • ただし、もともと「家族滞在」ビザで日本にいる家族は例外。

 

5. 特定技能外国人への支援内容(支援計画)

企業は、外国人労働者が日本で安心して働けるよう、以下の支援を行う必要があります。

  • 入国前オリエンテーション
    • 日本での生活ルールや職場規則を説明
  • 住居の確保支援
    • 社宅の提供、アパートの紹介
  • 日常生活支援
    • 銀行口座開設、携帯電話契約、役所手続き
  • 職場内指導
    • 安全衛生教育
    • 業務マニュアルの提供
  • 苦情対応窓口の設置
    • 職場での問題やトラブルに対応

 

 

6. 特定技能外国人の労働条件

  • 労働時間、給与、休日は日本人従業員と同等
  • 賃金は最低賃金法を遵守
  • 残業や休日出勤には割増賃金を適用
  • 健康診断の実施(年1回以上)

 

7. 特定技能1号のメリットと留意点

 

メリット

  • 企業は人手不足を補える
  • 外国人は正規の在留資格で働ける

 

⚠️ 留意点

  • 受入れ企業は適切な支援を行わなければならない
  • 法令違反が発覚すると受入れが停止されることがあります

 

このように、特定技能1号「飲食料品製造業」分野は、多くの外国人に日本での就労機会を提供し、企業は人手不足を解消できますが、法令遵守と支援計画の実施が不可欠です。

さらに詳しい点や具体的な質問があればお知らせください。 🙂

 

 

「特定技能」は、企業と外国人の双方にメリットがあり、制度を正しく理解し活用することが重要です。

一方で、申請には技能評価試験や日本語試験の合格、受入れ体制の整備、支援計画の策定など、専門的な知識と手続きが求められます。
不備があると不許可や手続きの遅延につながるため、確実な準備が不可欠です。

「ならざき行政書士事務所」は、在留資格認定証明書の申請から、変更・更新の手続き、受入れ企業の支援体制づくりまで、特定技能制度の活用を総合的にサポートしています。
初めて外国人を雇用する企業様にも、わかりやすく丁寧にご案内いたします。

特定技能制度を適切に活用することで、人材不足を補いながら国際的な人材との連携が可能になります。
「ならざき行政書士事務所」は、その第一歩を全力でサポートいたします。

 

参照記事等

出入国在留管理庁のウェブサイト「飲食料品製造業分野
(最終閲覧2025年6月17日)

一般社団法人外国人食品産業技能評価機構のウェブサイト「特定技能1号・2号技能測定試験
(最終閲覧2025年6月17日)

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