ブログ

【在留資格】特定技能1号「漁業」について

「特定技能」は、人手不足の業界で外国人材を受け入れるための、今もっとも注目されている在留資格です。

特定技能制度は、日本国内で深刻化する労働力不足に対応するために2019年に創設され、一定の技能や日本語能力を持つ外国人を受け入れる仕組みです。
特に介護、外食業、建設などの16分野で活用が進んでおり、多くの企業が即戦力としての外国人材に期待を寄せています。

例えば、ある外食チェーンでは特定技能の外国人スタッフを複数名採用し、人手不足の店舗運営を安定化させました。
就労を希望する外国人側にとっても、中長期的に働ける制度として人気が高まっています。

このように、「特定技能」は企業にとっても外国人にとっても大きな可能性を持つ在留資格です。

 

 

【特定技能1号「漁業」分野】外国人が日本の漁業で働くための条件とポイント

今回は、外国人が日本で漁業の仕事に就くための在留資格「特定技能1号(漁業分野)」について、行政書士の視点から詳しく解説します。
漁業業界の人手不足解消に向けて導入された制度ですが、実際に外国人を雇用するには細かな要件を理解しておくことが重要です。

 

1.そもそも「特定技能1号」とは?

特定技能1号は、2019年に新設された在留資格で、日本国内で深刻な人手不足が生じている14分野で外国人の就労を認める制度です。
そのうちの一つが「漁業分野」です。

漁業分野では、外国人が漁船漁業や養殖業の現場で即戦力として働くことが期待されています。
高齢化や担い手不足が進む水産業にとっては、非常に重要な制度となっています。

 

 

2.特定技能1号「漁業」で認められる主な業務内容

 

漁船漁業職種

以下のような実際の漁業現場での作業が対象です。

  • かつお一本釣り漁業
  • 延縄(はえなわ)漁業
  • いか釣り漁業
  • まき網漁業
  • ひき網漁業
  • 刺し網漁業
  • 定置網漁業
  • かに・えびかご漁業
  • 棒受網漁業

 

養殖業職種

  • ぶり、まぐろ、さけ等の魚類養殖
  • かき、ほたてがい等の貝類養殖
  • 無給餌養殖(自然の餌を利用する養殖)

 

3.外国人が特定技能1号「漁業」を取得するための条件

外国人がこの資格を得るためには、大きく分けて以下の2つの方法があります。

 

(1) 試験に合格する場合

  • 技能測定試験に合格

    • 学科試験(漁業や養殖に関する知識)
    • 実技試験(具体的な作業内容)
    • いずれもCBT方式(コンピューター試験)で実施
    • 合格基準は約65%~74%以上(試験によって異なる)
  • 日本語能力試験に合格

    • 日本語能力試験(JLPT)N4以上
    • または、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2レベル以上

 

(2) 技能実習2号からの移行

すでに技能実習2号の「漁業」または「養殖業」を良好に修了した方は、上記の試験が免除されます。

 

 

4.受け入れ機関(雇用主)の条件

外国人を受け入れる事業者側も、いくつかの重要な条件を満たさなければなりません。

 

  • 法令遵守義務

    • 労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法などの遵守
    • 社会保険・税務手続の適正な履行
  • 漁業特定技能協議会への加入

    • 水産庁が所管する「漁業特定技能協議会」への加入が義務付けられています。

 

  • 外国人支援計画の実施

外国人が安心して日本で生活・就労できるよう、下記の支援が必要です。

    • 住居の確保支援
    • 生活オリエンテーションの実施
    • 日本語学習機会の提供
    • 相談窓口の設置 など

※支援計画の作成・実施は登録支援機関に委託することも可能です。

 

5.在留期間と家族帯同について

  • 在留期間:通算で最長5年(1年、6か月、4か月ごとの更新)
  • 家族帯同:原則として認められていません(ただし、特定技能2号に移行すれば帯同可能)

 

 

6.特定技能2号「漁業」への移行制度

2023年から、より長期的な就労を可能とする特定技能2号(漁業分野)が新設されました。
2号に移行すれば、家族帯同や在留期間の更新制限がなくなります。

【2号移行の主な要件】

  • 2号漁業技能測定試験に合格
  • 日本語能力試験N3以上の合格
  • 2年以上の実務経験(管理職的業務を含む)

 

7.まとめ:行政書士がサポートできること

特定技能制度の申請手続は、法令や細かな要件を理解する必要があり、事業者様の負担も大きくなりがちです。
ならざき行政書士事務所では、以下のサポートを行っております。

  • 受入機関となるための各種書類作成
  • 特定技能所属機関登録手続
  • 支援計画作成支援
  • 外国人本人の在留資格申請書類作成
  • 法務省・水産庁への報告対応

漁業分野で外国人を採用したいとお考えの事業者様は、ぜひ一度ご相談ください。

 

 

「特定技能」は、企業と外国人の双方にメリットがあり、制度を正しく理解し活用することが重要です。

一方で、申請には技能評価試験や日本語試験の合格、受入れ体制の整備、支援計画の策定など、専門的な知識と手続きが求められます。
不備があると不許可や手続きの遅延につながるため、確実な準備が不可欠です。

「ならざき行政書士事務所」は、在留資格認定証明書の申請から、変更・更新の手続き、受入れ企業の支援体制づくりまで、特定技能制度の活用を総合的にサポートしています。
初めて外国人を雇用する企業様にも、わかりやすく丁寧にご案内いたします。

特定技能制度を適切に活用することで、人材不足を補いながら国際的な人材との連携が可能になります。
「ならざき行政書士事務所」は、その第一歩を全力でサポートいたします。

 

参照記事等

出入国在留管理庁のウェブサイト「漁業分野
(最終閲覧2025年6月13日)

一般社団法人大日本水産会のウェブサイト「在留資格「特定技能」漁業技能測定試験について
(最終閲覧2025年6月13)

PAGE TOP