「特定技能」は、人手不足の業界で外国人材を受け入れるための、今もっとも注目されている在留資格です。
特定技能制度は、日本国内で深刻化する労働力不足に対応するために2019年に創設され、一定の技能や日本語能力を持つ外国人を受け入れる仕組みです。
特に介護、外食業、建設などの16分野で活用が進んでおり、多くの企業が即戦力としての外国人材に期待を寄せています。
例えば、ある外食チェーンでは特定技能の外国人スタッフを複数名採用し、人手不足の店舗運営を安定化させました。
就労を希望する外国人側にとっても、中長期的に働ける制度として人気が高まっています。
このように、「特定技能」は企業にとっても外国人にとっても大きな可能性を持つ在留資格です。
🚛 外国人の「特定技能1号」自動車運送業分野の詳細解説
「特定技能1号」の在留資格で外国人が日本の自動車運送業分野で働くための詳細な内容と要件を、詳しく解説します。
1. 自動車運送業分野の「特定技能1号」の対象業務
1-1. トラック運送業
- 対象業務:
- 貨物運送:製品や原材料、日用品、引越し荷物などの輸送。
- 運行管理:運行前後の点検、乗務記録の作成。
- 荷役業務:積み下ろし、仕分け。
- 安全管理:運行前点検、定期的な車両整備。
- 具体的な職種例:
- 一般貨物自動車運送業(長距離・中距離・地域配送)
- 特別積み合わせ貨物運送業
1-2. タクシー運送業
- 対象業務:
- 乗客の送迎:タクシーの運転、乗客の案内。
- 接客対応:乗車時の挨拶、目的地確認、支払い対応。
- 車両管理:運行前後の車両点検。
- 安全運転:交通ルールの遵守、安全確認。
- 具体的な職種例:
- 一般乗用旅客自動車運送業(タクシー)
- 配車サービス運転
1-3. バス運送業
- 対象業務:
- 路線バス運行:定期ルートの運行、乗客の案内。
- 観光バス運行:ツアーガイド、観光地案内。
- 乗降補助:高齢者や障害者の乗降支援。
- 安全管理:運行前後の点検、安全確認。
- 具体的な職種例:
- 路線バス運転手
- 高速バス運転手
- 観光バス運転手
2. 特定技能評価試験の詳細
2-1. 試験構成
- 試験区分:トラック運送、タクシー運送、バス運送の3区分。
- 試験内容:
- 学科試験:運行管理、安全確認、法律規制に関する知識。
- 実技試験:車両操作、交通ルール遵守、安全運転の実演。
2-2. 試験の実施場所と方法
- 試験会場:
- 日本国内(主要都市)
- 海外(ベトナム、インドネシア、フィリピンなど)
- 実施方法:
- 学科試験:パソコンまたはタブレットでの選択式。
- 実技試験:指定の会場での運転操作。
- 合格基準:
- 学科:60%以上の正解率。
- 実技:安全確認や運転技術の総合評価。
3. 日本語能力の詳細
3-1. 日本語試験の種類
- 日本語能力試験(JLPT):
- トラック運送:N4以上
- タクシー・バス運送:N3以上
- JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト):
- N4相当(200点以上)
3-2. 日本語能力試験の免除条件
- 技能実習2号を自動車運送業で修了した者は、トラック運送分野で日本語試験免除。
4. 運転免許の詳細
4-1. トラック運送業の運転免許
- 必要な運転免許:
- 第一種普通免許:最大積載量2トン以下
- 準中型免許:2トン以上4.5トン未満
- 中型免許:4.5トン以上11トン未満
- 大型免許:11トン以上
- 免許取得方法:
- 外国で取得した免許を日本の免許に切り替える「外免切替」。
- 日本国内で新規に免許取得(自動車教習所に通う)。
4-2. タクシー・バス運送業の運転免許
- 必要な運転免許:
- 第二種普通免許(タクシー)
- 第二種中型免許(中型バス)
- 第二種大型免許(観光バス、大型バス)
- 免許取得方法:
- 日本国内の指定教習所で取得可能。
- 外国免許を日本免許に切り替える場合、試験が必要。
5. 受け入れ企業の詳細要件
5-1. 法令遵守
- 労働基準法、労働安全衛生法、道路交通法を遵守すること。
- 過去5年以内に重大な法令違反がないこと。
5-2. 雇用契約の要件
- 労働条件通知書の交付(給与、勤務時間、休日等を明記)。
- 日本人と同等以上の報酬を保証。
- 休日は法定労働時間に基づく。
5-3. 支援体制の整備
- 外国人労働者に対する生活支援:
- 住居の確保支援
- 日本語学習支援
- 相談窓口の設置
- 専任の支援責任者を配置し、外国人が業務を理解できるよう指導。
6. 在留資格取得手続きの流れ
- 技能試験および日本語試験に合格。
- 外国免許の日本免許への切り替え(必要な場合)。
- 雇用契約の締結。
- 企業による在留資格認定証明書の申請。
- 在留資格「特定技能1号」の取得。
7. 企業側のサポート例
- 例:株式会社Aは、トラック運送業の外国人労働者を受け入れるため、以下の支援を実施:
- 入国後、住居の手配(社宅提供)。
- 免許取得支援(教習所の費用補助)。
- 母国語での安全教育資料の提供。
8. その他の注意事項
- 雇用契約は最長1年間で、更新は可能(上限5年間)。
- 途中退職した場合、雇用者は入管へ報告義務あり。
- 交通事故を起こした場合、企業側の責任も問われる可能性。
「特定技能」は、企業と外国人の双方にメリットがあり、制度を正しく理解し活用することが重要です。
一方で、申請には技能評価試験や日本語試験の合格、受入れ体制の整備、支援計画の策定など、専門的な知識と手続きが求められます。
不備があると不許可や手続きの遅延につながるため、確実な準備が不可欠です。
「ならざき行政書士事務所」は、在留資格認定証明書の申請から、変更・更新の手続き、受入れ企業の支援体制づくりまで、特定技能制度の活用を総合的にサポートしています。
初めて外国人を雇用する企業様にも、わかりやすく丁寧にご案内いたします。
特定技能制度を適切に活用することで、人材不足を補いながら国際的な人材との連携が可能になります。
「ならざき行政書士事務所」は、その第一歩を全力でサポートいたします。
参照記事等
出入国在留管理庁のウェブサイト「自動車運送業分野」
(最終閲覧2025年6月12日)
外国人採用サポネットのウェブサイト「特定技能「自動車運送業」を解説!トラック・タクシー・バスの外国人ドライバー雇用とは」
(最終閲覧2025年6月12日)